2012年12月30日

ハープと私

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 私は、5歳のときに初めて音楽のレッスンを受けました。場所は、モスクワ音楽院の一番大きな教室で、エミール・ギレリスやスヴャトスラフ・リヒテルなど、ロシアの多くの名ピアニストたちが学生時代に勉強していたところでした。

 先生は、ディーナ・ヨッフェ、ラドゥー・ルプー、スタニスラフ・ブーニンなど世界的に有名なピアニストたちを育てた音楽院の教授でロシアきっての名教師として名高いエレーナ・リヒテル先生。3台もグランドピアノの置いてある教室でのレッスンは、毎回、一つひとつの音をどれだけ美しく出せるか、という訓練でした。

  ハープを始めたのは9歳の時で、これもモスクワでした。最初の先生は、モスクワ放送交響楽団のハーピストだったリュボーフィ・ルミャンツェヴァリューバさん。最初のレッスンを始めるときに、リューバさんからこう言われました。「ハープっていうのは、とても難しい楽器なのよ。とっても頭を使わなくてはならないし、一生懸命に練習しないと上手に弾けるようにはならないの。だから、中途半端にやるくらいなら、はじめからやらない方がいいわね!」

  そうしておどかされて始めたハープでしたが、最初の楽器はソ連製で、当時、レニングラード(現在のサンクト・ペテルブルグ)にあったソ連で唯一のハープ工場から取り寄せました。シンプルなデザインでした、金色に輝くとても響きの良い楽器でした(今でも東京のスタジオにおいて、時々弾いています)。

  本格的に勉強を始めたのは11歳で、音楽の専門学校である「グネシン記念モスクワ市立中等音楽専門学校」のハープ科の3年生に編入したときでした。そこは、将来プロの音楽家になることを目指している子供たちに一般教育と音楽の専門教育をする学校で、多くの世界的な演奏家が出ていますが、日本で一番有名な卒業生は、ピアニストのエヴゲーニー・キーシンでしょう。とにかく、音楽の授業はとても厳しかったです(音楽専門学校ですから当然ですが...)。

  このグネシン音楽学校で、私はミルダ・アガザリャン先生から10年間指導を受けました。先生は、現在、グネシン記念ロシア国立音楽アカデミーの教授もしておられ、ロシアのハープ教育界の第一人者であるだけでなく、世界のハープ界でもトップクラスのハープ教師です。ハープを教えるために生まれてきたような方で、アガザリャン先生の頭の中は常にハープのことで一杯でした。年に2回あるクラス・コンサート、数回あるテストと5月末にある学年末試験。休む暇もなく、同時に4~5曲、年間20曲以上の曲を練習していました。卒業試験は、約30分のプログラムで、必ずコンチェルト(ピアノ伴奏)を入れなくてはなりません。私はラヴェルの「序奏とアレグロ」を弾いて何とかパスしました。

  グネシン音楽学校を卒業してから、ベルギー王立ブリュッセル音楽院ハープ科に留学し、スザンナ・ミルドニアン教授に4年間師事しました。先生は、世界の3大国際ハープコンクール(イスラエル国際コンクール、ジュネーヴ国際コンクール、マルセル・トゥルニエ記念パリ国際コンクール)で優勝したただ一人のハーピストで、とても気さくな方です。モスクワで10年間、徹底的にロシアのハープ教育を受けた私にとって、ヨーロッパの音楽院で勉強できたことはとても貴重な経験でした。

  私は、現在、ハープの個人指導に大きな比重を置いています。ロシアとヨーロッパで、通算15年以上にわたってハープを勉強してきた私にとって、その経験を生かして、ハープを愛する皆さまが、古今東西の数々のハープの
名曲をより美しい音で演奏することができるように手助けをするのが使命だと思っています。

  最初に「ハープはとっても難しい楽器!」と書きましたが、どんな楽器でも難しさは変わりません。でも、ほかの楽器と比べると、ハープは独習が困難な楽器ということは言えるでしょう。楽器を弾くときの姿勢、腕の構え方、
指使い、肩の力の抜き方...、練習のコツはなかなか言葉では伝えられませんから。

 初めてハープを始める方からプロを目指して音楽大学を受験される方まで、正しい基礎を身につけて、美しい音で演奏できるようになることを目標に、そして、何よりもハープを演奏することの楽しさを味わっていただけるように、じっくりと時間をかけて楽しくレッスンをしてゆきたいと思っています。
                                
小坂安奈




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